Linux環境でデータを操作する際、「並び替え(ソート)」は欠かせない重要な操作の一つです。特に大量のデータを扱う場合、手作業で並び替えることは現実的ではありません。そんなときに頼りになるのがsortコマンドです。sortコマンドは、ファイルや標準入力からデータを受け取り、さまざまな基準で並び替えることができる非常に便利なツールです。
本記事では、Linux初心者から中級者までを対象に、sortコマンドの基本的な使い方から高度な応用方法までを詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、sortコマンドを自在に使いこなせるようになり、作業効率の大幅な向上が期待できるでしょう!
sortコマンドの基本的な使い方
まずは、sortコマンドの基本的な使い方を確認しましょう。sortコマンドは、指定したファイルや標準入力からデータを取得し、デフォルトでは昇順に並び替えて出力します。
sort ファイル名
基本例:ファイルの並び替え
以下のような内容のファイルexample.txtを例に考えます。
banana
apple
cherry
date
このファイルをsortコマンドで並び替えると、以下のようにアルファベット順(辞書順)でソートされます。
sort example.txt
出力結果:
apple
banana
cherry
date
標準入力との組み合わせ
sortコマンドは、ファイルだけでなく標準入力から直接データを受け取ることも可能です。以下の例では、echoコマンドで与えた文字列を並び替えます。
echo -e "pear\napple\norange" | sort
出力結果:
apple
orange
pear
パイプを利用することで、他のコマンドと組み合わせた柔軟なデータ処理が可能になります。
sortコマンドの主要なオプション
sortコマンドには多くのオプションが用意されており、それらを活用することでさらにパワフルなデータ操作が可能になります。ここでは特によく使われる主要なオプションを解説します。
1. -r(降順に並び替え)
デフォルトでは昇順(小さい順)で並び替えが行われますが、-rオプションを指定すると降順(大きい順)に並び替えることができます。
sort -r example.txt
出力結果:
date
cherry
banana
apple
2. -n(数値順に並び替え)
デフォルトでは辞書順で並び替えが行われますが、-nオプションを指定することで数値順に並び替えを行えます。
echo -e "100\n20\n3" | sort -n
出力結果:
3
20
100
3. -k(特定の列で並び替え)
スペースやタブで区切られたデータを扱う場合、-kオプションを使うことで特定の列を基準に並び替えることができます。
例として、以下の内容のファイルdata.txtを使用します。
Alice 25
Bob 30
Charlie 20
年齢(2列目)を基準にして並び替えるには、次のコマンドを使用します。
sort -k2 -n data.txt
出力結果:
Charlie 20
Alice 25
Bob 30
4. -u(重複行の削除)
-uオプションを使用すると、並び替えと同時に重複行を自動的に削除できます。
echo -e "apple\nbanana\napple" | sort -u
出力結果:
apple
banana
5. -t(区切り文字を指定)
デフォルトでは空白が区切り文字として扱われますが、-tオプションを使うことで任意の区切り文字を指定できます。
例として、以下のカンマ区切りのファイルcsv.txtを例に考えます。
Alice,25
Bob,30
Charlie,20
カンマを区切り文字として年齢(2列目)を基準に並び替えるコマンドは以下の通りです。
sort -t, -k2 -n csv.txt
出力結果:
Charlie,20
Alice,25
Bob,30
sortコマンドの応用
sortコマンドは、基本的な使い方を覚えるだけでも非常に役立ちますが、応用的な使い方を習得することで、さらに広範なデータ操作が可能になります。ここでは、実務でも役立つ具体的な応用例を紹介します。
1. 大規模なログファイルの処理
サーバーログの解析などでは、特定の列を基準に並び替えることがよくあります。以下は、アクセスログファイルaccess.logの例です。
192.168.1.1 - - [01/Jan/2023] "GET /index.html" 200
192.168.1.2 - - [01/Jan/2023] "GET /about.html" 404
192.168.1.1 - - [01/Jan/2023] "GET /contact.html" 200
IPアドレス(1列目)を基準に並び替えるには、次のようにします。
sort -t' ' -k1 access.log
出力結果:
192.168.1.1 - - [01/Jan/2023] "GET /index.html" 200
192.168.1.1 - - [01/Jan/2023] "GET /contact.html" 200
192.168.1.2 - - [01/Jan/2023] "GET /about.html" 404
2. 複数の基準で並び替え
複数基準で並び替える場合は、-kオプションを複数回指定します。以下のファイルstudents.txtを例にします。
Alice 25 A
Bob 30 B
Charlie 25 B
年齢(2列目)で昇順に並び替え、その後成績(3列目)で昇順に並び替える場合は次のコマンドを使います。
sort -k2,2n -k3,3 students.txt
出力結果:
Alice 25 A
Charlie 25 B
Bob 30 B
3. シェルスクリプトでの活用
sortコマンドは、シェルスクリプト内の処理にも活用できます。たとえば、ディレクトリ内のファイルをサイズ順に並び替えるスクリプトを作成してみましょう。
#!/bin/bash
ls -l | sort -k5 -n
このスクリプトを実行すると、カレントディレクトリ内のファイルがサイズ順に並び替えられます。
まとめ
この記事では、Linuxのsortコマンドについて、基本的な使い方から主要なオプション、応用的な活用方法までを詳しく解説しました。sortコマンドは、日常的なデータ整理からシステム管理業務まで、幅広い場面で活用できる強力なツールです。
覚えておくべきポイント
- 基本的な使い方:
sort ファイル名 - 主要なオプション:
-r(降順)、-n(数値順)、-k(特定列)、-u(重複削除)、-t(区切り文字指定) - 応用例:ログ解析や複数基準の並び替え、シェルスクリプトでの活用
これらをマスターすることで、Linuxでのデータ操作がより効率的になります。ぜひこの記事を参考に、sortコマンドを日々の業務や学習に役立ててください!

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